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  • 「シャルロット・ペリアンと日本」展 神奈川県立近代美術館 鎌倉 ポスター

2020.6.5(fri)

思い出の展覧会(64)
シャルロット・ペリアンと日本
2011年10月22日(土)~2012年1月9日(月・祝) 神奈川県立近代美術館 鎌倉

神奈川県立近代美術館 企画課長 長門 佐季

 本展は、神奈川県立近代美術館の開館60周年を記念して2011年に旧鎌倉館で開催された。フランスのデザイナーで建築家のシャルロット・ペリアン(1903〜9 9)と神奈川県立近代美術館の旧鎌倉館を設計した坂倉準三はル・コルビュジエのアトリエでの同僚であり、生涯にわたる友人であった。

 1940年に「工芸指導顧問」として初来日したペリアンは、日本の伝統的な意匠や技術、素材に魅かれ、それらを自らのデザインに取り入れるとともに、戦後、日本の文化に触発されたデザインを発表し、日本のモダンデザインの形成に大きな影響をもたらしたことで知られる。 展覧会準備のため、2008年からペリアンの娘であるペルネットと夫のジャックが管理するパリのペリアン・アーカイヴに通い始めた。戦時中にペリアンが日本から持ち出した資料の数々は、彼女にとって日本体験がいかに重要なものであったかを物語っていた。並行してペリアンの多岐にわたる活動を検証するため、建築、工芸、民藝、デザインの各分野の日仏研究者による研究会を作り、滞日中のペリアンの足跡を辿りながら調査を進めた。調査の過程で龍村美術織物が製作したペリアン考案のタピスリー「刺繍入り巻き上げ窓掛」が70年ぶりに発見されたのは大きな収穫であった。

 途中からは、巡回館である広島市現代美術館の角奈緒子さんと目黒区美術館の佐川夕子さんが加わり、ペルネットとジャックと意見交換や交渉を重ねながら展示内容を固めていった。日仏共同での展覧会づくりは予想を超える困難を伴ったが、今から思えば、楽しく学ぶことの多い充実した日々であった。ペリアンの好奇心と行動力に導かれてか、展覧会の構成はペリアンから彼女と交流のあった人物やその時代にまで広がり、最終的な出品点数は300点を超えていた。  開幕からしばらくして、フランスでも本展を開催したい、という申し出を受け、企画のコンセプトはそのままに展示内容の一部を変更して、2013年にサン=テティエンヌの近代美術館でペリアン展が行われることとなった。

 昨年11月から今年2月までシャルロット・ペリアンの没後20年を記念した展覧会「Le Monde Nouveau de Charlotte Perriand」がパリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンで開催されていた。その過去最大規模の回顧展においても日本との関わりが大きく取り上げられ、日本から出品したタピスリーやテーブルが見どころの一つとなっていた。自らが携わった展覧会がこのようなかたちで展開していることを嬉しく思うとともに、「シャルロット・ペリアンと日本」を通じて出会った人々や作品、そしてあの時の経験が今の私にとって大きな糧となっていることをあらためて感じている。

※広島市現代美術館、目黒区美術館を巡回

美連協ニュース146号[2020年5月号]より転載
(※役職、所属は掲載時)

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